小抽斗の修理

明治時代の小抽斗(W245×D140×H290)です。
お客様からは、この家具のイメージをそのまま残したいため、出来るだけ新しい材料は使わずに直してほしいというご要望がありました。家具を解体して傷んでいる部分を補修した後、全体を組み直し、見えない部分に変形防止の補強を入れました。塗装も部分的な補修で仕上げるなど、元の状態をできるだけ保つことを意識した修理でした。

店主のつぶやき

この家具は、天板や棚板の木口が見えるデザインになっています。現代で言う「インセット」というスタイルで、和家具に多い形です。昔の家具(箪笥)は、引出しを閉めると他の段の引出しが少し飛び出してくることがあったのをご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、家具は熟練した職人が手作りする精度の高いモノでした。100年以上経ったこの家具も、現代の使い捨て家具では感じられない「味わい」があり、その良さを改めて実感しました。